映画:ミッドナイト・イン・パリ、パプリカ



たまには病気もするもので、
のんびりと映画を観ることができて、ちょっとラッキーな数日間でした。

と言っても重い映画は観る気になれなくって、
山田康雄のルパンシリーズと、ジブリと、今敏と、あとは新しく買った数本の映画。
気がついたら紅の豚は3回もみてた。とっても好き。

そしてはじめて観た映画のひとつは、ウディアレンのミッドナイト・イン・パリ。
パリに旅行にきたアメリカ男性が主人公。
婚約を目前に控えていて現実逃避気味、とっても懐古的。
1920年代に憧れている主人公が、夜のパリを散歩していたら、
なんとその憧れの1920年代へタイムトリップするという話。

ピカソ、ダリ、マンレイ、コールポーター、ヘミングウェイ、
ジャンコクトー、マティス…etc時代の寵児たちがいっぱい出てくるすてきな映画。
役者さんたちのチョイスがすごく好きだったし、なにより史実で見てきた彼らそのままだった。
期待を裏切らない雰囲気で演じてくれるというか、
「20年代のパリってやっぱり、こんな感じだったんだろうな〜」って素直に楽しむことができた。
絵画を見たり、本を読んで想像してたのと同じ!ってわくわくしてしまう!

あとは、パリの街並がいっぱい出てきて、
「あ、ここ行ったな〜」とか「このカフェ素敵よね〜」とか思い出しながら観ることができる。

この2つの点がすてき。

とくに豪華な芸術家たちがいっぱい出てくるシーンですてきだったのは、
大好きなダリが出てきて、すごく、すごく、いい感じの変人だった。
こんなすてきな人に出会わせてくれて、ありがとうございます。


映画って軽いのが好きで、
同じ(?)芸術系でも真珠の首飾りの少女も、ゴヤの映画も眠ってしまったから、
ミッドナイトインパリはあんまり色々考えなくて観れておもしろかった〜。
そんなんでいいのかって思うけど、映画に関してはいいかな〜っておもう。


そうだ!
今敏のパプリカ、
最後のシーンでモローの「オディプスとスフィンクス」が使われていました。
なんでモローなの。なんでこのモチーフなのって気になったけど、
ここ(paprika.com)にすべて書かれていて、すっきり。。。

この絵は、モロー美術館で見なかったな。。。

映画とは関係ないけど、
この絵の、スフィンクスがオディプスにしがみつかせるこの構図。
スフィンクスは私達がイメージしているよりもずっとずっと女性的。
オディプスを真っ直ぐ見つめる視線は挑発的で、ちょっと精神を病んでる風。
オディプスは、応えるのか応えないのか分からない、引いてるようにも挑んでいるようにも見える。
好きか、嫌いか、で言うならたぶん好きじゃないってこたえるこの絵。
だってこわい。

手元にあるモローの本には、
モローがこう言った、と書いてある。
「不可思議な運命に導かれて、人生の重大な局面にやってきた旅人は、
自分を締め付け苦しめる永遠の謎に出会う。
だが心強き者は、ときに甘美でときに粗暴な攻撃にたじろがず、
理想を見据え、謎を踏み越えて自信をもって目標に向かっていく。」


それでは、
2013年も、すてきな1年でありますように。
アートにたくさん触れられる1年になるといいな。


リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝展



クララ・セレーナ・ルーベンスの肖像
ペーテル・パウル・ルーベンス 1616年頃


男の肖像
ラファエロ・サンティ 1502-04年頃


マルスとレア・シルヴァ
ペーテル・パウル・ルーベンス 1616年頃




マリー・フランツィスカ・リヒテンシュタイン侯女 2歳の肖像
フリードリヒ・フォン・アメリング



バロックサロン概要
18世紀オーストリア・バロックの代表的建築として知られる、ウィーン郊外ロッサウの「夏の離宮」には、侯爵家の膨大なコレクションの一部が展示されています。天井画と漆喰装飾が施された豪奢な室内に、絵画、彫刻、工芸品、タペストリーや家具調度をとり混ぜる展示は、かつてのリヒテンシュタイン諸侯が暮らしたバロック期の華麗な宮廷の雰囲気を、まざまざと伝えます。本展では、この夏の離宮の室内装飾と展示様式にもとづいた「バロック・サロン」を設けます。豪華絢爛たるバロック宮殿で、至上のひとときをお楽しみください。






リヒテンシュタイン 華麗なる伯爵家の秘宝展

展覧会概要
オーストリアとスイスの間にあるリヒテンシュタイン侯国。同国の国家元首であるリヒテンシュタイン侯爵家は、優れた美術品収集こそが一族の栄誉との家訓のもと、500年以上にわたってヨーロッパ美術の名品を収集してきました。その数は3万点に及び、英国王室に次ぐ世界最大級の個人コレクションといわれています。本展では同コレクションから139点の名品を選りすぐり、日本で初めて公開します。世界屈指のルーベンス・コレクションからは、愛娘を描いた《クララ・セレーナ・ルーベンスの肖像》など10点が一挙に来日。ラファエッロ、クラナッハ、レンブラント、ヴァン・ダイクをはじめとする巨匠たちの名画や、華麗な工芸品が一堂に並びます。


国立新美術館

シャガールとマティス、そしてテリアード



シャガールは優しい絵を描く。幻想的で愛情深い。そして、とてもかわいい。
最初のテーマの「ダフニスとクロエ」は、2〜3世紀頃のギリシャの恋物語で、
舞台は、エーゲ海に浮かぶレスボス島。
ヤギと羊に育てられた若いふたり…ダフニスとクロエが出会い、恋に落ちていくというお話。


まず出会ったものの「恋」を知らないふたりは、
自分の恋心をどう処理していいのか分からず「これは病気なんだ」と思い込む。
そこへある老人が現れ、恋に効く薬を3つ教えてくれる。
恋に効く薬・・(1)抱き合う (2)接吻する (3)衣服を脱いで一緒にねる
老人は「衣服を脱ぎ一緒にる」とだけ教えたので、ふたりはただ、衣服を脱いで一緒に寝るだけ。
微笑ましい♡




途中、クロエが海賊にさらわれてしまうが、3人のニンフに助けてもらう。
3人のニンフとダフネスは神パンに助けを乞う。
この願いにこたえて、神パンの姿が浮かびあがる。
(絵画右上の、赤いのが神パン。)
ダフニスは、 クロエが無事にもどりますようにと懇願し、その場にひれ伏す。










忙しくしているうちに、今年も最後の月になってしまいました。
冬がきて、春を迎えて、夏が過ぎて、秋になり、また冬へ…と。
時間って、あっという間にすぎていきます。
毎年何だ彼んだで季節を楽しむことはしていたので、
こうして東京で暮らしだして、時間に縛られ、人目を気にする生活を送っていると、
アートや、音楽や、美味しい食事や、楽しい集まり等、
当たり前のように楽しんでいた生活が、夢のように思えて少し懐かしくなります。

本題。先週、神奈川県立美術館に行ってきました。
秋の空が清々しく晴れ上がった午後、「鎌倉に行こう!」と思い立って車を走らせて、
ここから鎌倉までは割と近くて、車で1時間とちょっと。
雪ノ下という洋菓子店でお食事をした後、
またしばらく車を走らせていると「シャガールとマティス」の看板が。
ほんとに、たまたま見かけて、嬉しくなりました。

秋晴れ。雲もなく、ひたすら真っ青な空に、白いけど、少し古びた美術館。
建築には全く詳しくはないけど、「昭和に建てられた美術館」って、とても好き。

神奈川県立美術館は「水の中に浮いている」ような外観が有名らしい。
(私が行った日は、改装中?でせっかくの平家池には水が張っていなかったけど。)
前から知っていたらきっとがっかりしただろうけど、
この美術館も初めてだし、なによりたまたま通りがかったところに
こんな素敵な美術館があることが嬉しかった。
小さいけど、見やすく、人のあまりいないところがいいなあと思いました。
また、蓮の綺麗な時期に見に来よう。
きっとここは、夏の似合う美術館だと思うから、夏に来たいなぁ。


「シャガールとマティス、そしてテリアード」



実はうちのお店にも、マティスのリトグラフを飾っているし、
それこそ今年行ったニューヨークのMoMA、パリのポンピドゥーセンターでも

シャガール、マティスは見てきたし、きっと毎年、何だ彼んだで彼らの作品は見ているんだけどな。

せっかく本物の絵を見ているのに、「見る」だけで何も感じ取れてなかったなって、

毎回、反省してる気がします。



だからこうして1作品、2作品だけではなく、やっぱりテーマに沿ってたくさんの作品がくるとなると、

もっと深く見れる、知れる気がして嬉しいです。

上にも書いているけどやっぱり「ダフネスとクロエ」のテーマがとても好きだった。
シャガールの世界観によく合っている。
映画を見ることも、小説を読むことも、バレエでストーリーを知ることもなく、
40枚の絵と、その絵のタイトルだけで流れが伝わって、とても感動しました。

知識不足の私でもこんなに楽しめるんだからすごい。

私は絵を見るときはほとんど、綺麗だな、素敵だな、ってそればっかり。
たまに難しいことを考えて難しことも言ってみようって思っても、
ただただ美しい絵の前にはこうやって「きれーい!」「すてき!」と感動するしかないんです。
シャガール、すごくすてきでした!
美術館にもまた来ます。

今度は江ノ電に乗って。
夏のあつーい日に、蝉時雨の鳴り止まない中で絵を見たい。


「ダフネスとクロエ」のテーマはやっぱりシャガールのこの押し絵が一番有名らしいのだけど、
テーマ自体も人気で、ラヴェルがバレエの題材にしたり、
シャガールが描いたオペラ座の天井画にもこのモチーフが使われたり。


この作品はルーブルにある、フランソワ・ジェラールが描いた「ダフネスとクロエ」。

綺麗だなあ。クロエが、とても和やかな表情をしている。
十代の恋愛ってこんな感じなんだなーと、ふたりの温かさまで伝わってくるようです。
同じジェラールだったら下の「アムルとプシュケ」も好きで、
この間のルーブルでも実物を見ることができて、すっごくテンションが上がりました。
それはもう、すごくすごく素敵な絵でした。
小学校のとき絵画の本でこの絵を見つけてあまりの美しさに、
「描いた人は、きっと人間じゃないんだ」と信じておりました。


Pompidou Centre - Alberto Giacometti













ポンピドゥーセンターの、アルベルト・ジャコメッティ作品


Musée national Gustave-Moreau(Paris)




ギュスターヴ・モロー美術館

母がモローの世界観が大好きで、パリに行ったら絶対行こうねと話していた。
私は本でしか絵を見たことがなく「幻想的な絵を描く人」くらいしか認識がなかったけれど、
行きの飛行機の中の機内誌にモロー美術館が取り上げられていて、あっと驚いた。
あの美しい螺旋階段のある美術館じゃないかと。
もうだいぶ前になるけれど、Tumblrでこの螺旋階段の写真が流れてきたことがあった。
(それがあまりにも素敵すぎて一時期iPhoneの待ち受け画面にしていたくらい。)
Tumblrだったから、その時はこの写真の場所がどこなのかも分からなかった。
それがモロー美術館だと分かって期待感が高まった。
だから母やモロー好きの方には申し訳ないけれど、
私の胸の中ではモローの絵が見れるというよりも「あの螺旋階段が見れる!」という気持ちが大きかった。
でも。すごい。
実際にモロー美術館に行って、彼の作品を見たら虜になってしまった。
宝石のように美しくて、一風変わった世界観。
ディティールに凝っていて、隅々まで描き込まれていているのが見応えがあるのだけれど、
モローの絵は色塗りまで終わって完成した絵のあとに、デッサン線を付け加えたような跡がある。
それが妙に豪華さを引き出していて、モローの絵の中でもこのデッサン線がある作品が特に好きだと感じた。
モローの作品は見れば見るほど面白いし、知れば知るほど面白い。
しかも私のようなモロー初心者にも優しく、代表的な作品の解説パネルが日本語で設置されていた。
しかもそれがかなり詳しく、物語を読むような楽しさ。

日本に来ないかな。また見たいな。
一人の画家とこうしてゆっくり向き合えるって、すごく嬉しいと思う。




モローが晩年まで住んでた邸宅を美術館にしてるから、書斎や寝室や居間もそのままあった。
ここで生活してあの膨大な作品達を創りあげてきたのだと思うと感慨深い。


ラファエロやドラクロワに影響を受けていたそうで、
ラファエロの自画像や作品のデッサン模写もあった。


邸宅の「居間」にいた美術館職員さん。なんだかギリシア彫刻のようにきれい。
同じ空間にいることに緊張しまって困りますね。






パリでのお食事





ホテル・コストでモーニングをしました。
寒い朝で、ホットチョコレートが美味しかった♡
ホテル・コストはコスト兄弟がプロデュースするホテルで、音楽CDとかもあるみたい。
家に帰って、知らずに父に話したら「CD持ってるよ〜」と何枚かくれました。
なんか深層にひびくような感じで、心が揺れるけど聴きやすかった。








ロブションのカジュアルレストラン。
予約NGで、並んで入らなければいけないというので「え〜」と思ったのですが、
並んで入っても正解でした。
オープンの時間を一時間間違えていて、私達がついていたときにはすでに行列だったけど、
ちょうどサブカウンターがあいたので…とすぐに入れました。
やっぱりロブションの内装かっこいい。黒に赤。大好き。
料理も美味しかった〜。
フォアグラのパテばっかり間違えて食べてたけど、ここではちゃんとソテーが食べれた!
ワインも美味しくて、並ばなきゃいけないけど、また行きたいな〜って思いました。
ちなみにサブカウンターで隣に座っていた方たち2名と仲良くなったのですが、
イギリスでレストランとホテルを経営しているオーナーと、そこのメインシェフらしく、
すごく話が会いました。
お互いのお店のHPを見せ合い、じゃあ次にイギリス・日本に来たら案内するね〜と。
50代くらいのとてもスマートで、でもちょっと遊んでる風なオーナーさん。
シェフは軍隊上がりの(確かほんとに海軍かどこかを退兵したとか言ってた)若い方。
有名レストランを食べ歩いて、シェフに料理の研究させてるんだって。
フランスに食の旅とか、とっても素敵。










フランスのパティスリー周りは前回のパリ旅行でたくさんしたので、
今回はいいかな〜と思っていたところに突如現れたパティスリー・プーシキン。
素通りしかかったのですが
ロココかバロックかって感じの豪華絢爛な内装に「えっ?」と目がくぎづけになり、
ちょうど疲れてきたし休憩でも〜と思って入ったけど、大正解だった。
ミルフィーユもショコラ・カライブも美味しかった。
ロシア系のオーナーが経営しているみたいだけど、味はしっかりフランス風ですよ。
どっしりしてて、でもスタイリッシュ。



ルーブル近くのレストラン。









魚介系で有名なレストラン。